背骨の関節による腰痛(椎間関節性腰痛)について

背骨の関節による腰痛(椎間関節性腰痛)とは

椎間関節性腰痛(ついかんかんせつせいようつう)とは、背骨のうしろ側にある関節である椎間関節(ついかんかんせつ)に、少しずつ負担が積み重なることで起こる腰痛です。

この関節には痛みを感じやすい神経が多く集まっているため、わずかな傷や炎症(えんしょう・組織が腫れて敏感になること)でも痛みとして強く感じやすい特徴があります。

体を反らす動きや、腰をひねる動作を繰り返すことで、関節に小さな傷ができ、それが治りきらないまま続くと、関節の状態が変わっていきます。これを変性する(せいしつが少しずつ変わること)といいます。

初めのうちは、レントゲンやMRI検査をしてもはっきりした異常が見つからないことが多く、痛みがあるのに検査では異常なしと言われる場合もあります。

しかし、負担が長く続くと、関節のふちに骨のトゲのようなものができることがあります。これを骨棘(こつきょく)といい、CT検査では確認できるようになります。

さらに関節の形が大きく変わると、変形性椎症(へんけいせいついしょう)と診断されることもありますが、こうした変化の途中段階でも腰痛は起こると考えられています。

このタイプの腰痛は、体を反らしたり、ひねったりする動作が多い人に起こりやすく、スポーツをしている方だけでなく、日常生活で同じ姿勢が続く方にもみられます。

実際の症例では、関節に注射を行う治療(ブロック注射・いたみの原因となる神経の働きを一時的に弱める治療)によって痛みが軽くなることがあり、痛みの原因が椎間関節にあることが分かる場合もあります。

一方で、画像検査で変形が見られても、それが必ずしも痛みの原因とは限らないことも多く、検査結果だけで判断するのは難しいとされています。そのため、実際の動きや触ったときの反応を確認する診察がとても重要になります。

本来、体を反らすときは背骨全体がなめらかに動きますが、背中や胸の動きが硬くなったり、骨盤の動きが悪くなると、腰の下の方だけが無理に反る動きになってしまいます。

このように一部分だけが強く動く状態を、ヒンジのような動き(一部に負担が集中する動き)といいます。さらに、お腹や背中の深い筋肉である体幹深部筋(たいかんしんぶきん・体を支える土台の筋肉)の働きが弱くなると、腰椎(ようつい)への負担はさらに大きくなります。

また、太ももの前の筋肉である大腿直筋(だいたいちょっきん)や、股関節の奥にある腸腰筋(ちょうようきん)が硬くなると、骨盤がうまく動かず、腰への負担が増えてしまいます。

椎間関節性腰痛を和らげるためには、腰だけを見るのではなく、股関節や背中の動きをやわらかくし、体を支える筋肉の働きを整えることが大切です。体全体をバランスよく使えるようになることで、腰の関節にかかる負担が減り、痛みの出にくい体へとつながっていきます。

【出典】Facet Joint Disease

こんな悩みはありませんか?

✅立った状態で体を少し後ろに反らした瞬間、腰の片側だけが詰まるように痛む。

✅立ち上がるときや寝返りのときに腰が「ズキッ」とする

✅腰を押しても筋肉の張りは少ないのに、背骨のすぐ横を押すとピンポイントで痛む場所がある。

✅長椅子から立ち上がるとき、腰を伸ばす動作で一瞬だけ強く痛むが、歩き出すと少し落ち着く。

✅レントゲンやMRIなどの画像では「異常なし」と言われたのに痛みが続く

✅前かがみでは痛みが出にくく、反らす・ひねる動きだけが怖くて避けている。

こうした症状がある場合、椎間関節の動きがロックされ、関節包(関節を包む膜)や靭帯が炎症を起こしている可能性があります。
特に仕事や生活で「後ろに反る姿勢」「ねじる姿勢」が多い方は注意が必要です。

原因

  • 椎間関節(ついかんかんせつ)は、背骨を後ろに反らしたり、体をひねったりするときに使われる関節です。この動きが毎日の生活の中で何度も繰り返されることで、関節のまわりに少しずつ負担がたまっていきます。
  • 年齢とともに背中や胸の動きが硬くなると、本来は背骨全体で分散されるはずの動きが、腰の一部分だけに集中しやすくなります。その結果、腰の後ろ側にある椎間関節に強い力がかかり続けてしまいます。
  • お腹や背中の内側にある筋肉である体幹深部筋(たいかんしんぶきん・体を内側から支える筋肉)の働きが弱くなると、背骨を安定させる力が落ち、関節がぶつかりやすい状態になります。
  • 太ももの前側の筋肉(大腿直筋・だいたいちょっきん)や、股関節の奥の筋肉(腸腰筋・ちょうようきん)が硬くなると、骨盤の動きが悪くなり、腰を反らすたびに椎間関節が押しつぶされるような負担がかかります。
  • 長時間の立ち仕事や、腰を反らした姿勢が続く生活では、椎間関節が休む時間を失い、回復しきらないまま使われ続けます。
  • 腰を反らすたびに椎間関節へ負担がかかる状態や、同じ姿勢で関節が休めない状態が長く続くと、関節の性質が少しずつ変わる変性(へんせい・性質が変わること)が進み、わずかな動きでも痛みを感じやすい腰になってしまいます。

椎間関節性腰痛は、転んだり強くぶつけたりして起こる腰痛ではなく、毎日の姿勢や動きのクセが積み重なって起こる腰痛 であることが大きな特徴です。

【出典】Is Hip Muscle Flexibility Associated with Low Back Pain Among First-Year Undergraduate Students?

特徴

  • 背骨全体ではなく、一部の関節だけが強く働きすぎている状態がみられる。
  • 痛みが常に出ているわけではなく、ある動きや姿勢のときだけ現れるというはっきりした波がある。
  • 腰の筋肉をゆるめても大きな変化が出にくく、関節の動きが合ったときだけ一時的に楽になることがある。
  • 椎間板(ついかんばん・背骨のクッション)が原因の腰痛に比べ、足のしびれや広がる痛みは出にくい。
  • 痛む側と反対側の動きが硬くなっていることが多く、体全体の動きのバランスが崩れている場合が多い。
  • 画像検査では年齢相応と判断されやすく、痛みの原因として見逃されやすい。

MRIで異常が見つからないのに痛む場合は、関節機能障害(かんせつきのうしょうがい・関節の動きそのものがうまくいっていない状態)が関与しているケースが多いと考えられます。
英国の医師James B. Mennellは、「関節のわずかな機能障害が痛みの原因になる」と報告しており、筋肉や椎間板のトラブルとはちがい、動いた時の痛みが著しく関節の機能障害が関係していることが多いと考えられます。

【出典】The validation of the diagnosis “joint dysfunction” in the synovial joints of the cervical spine

一般的な改善策

  • 病院では、痛みが強い時期には炎症を抑える薬や湿布を用いて、関節への刺激を一時的に落ち着かせる対応が行われることが多い。
  • 家庭では、長時間同じ姿勢を続けず、立ち上がる前に腰や股関節を軽く動かしてから動作を始めることで、関節への急な負担を減らせる。
  • 背中や股関節まわりの硬さをやわらげ、腰だけに動きが集中しないようにする体操や軽いストレッチ。
  • 反らす・ひねる動作を一時的に控え、痛みが出にくい動作範囲で生活することが勧められる。

これらは一時的な炎症をやわらげることを目的としているため、関節の動きを改善させるまでには至らないことが多いです。
また、筋トレを過剰に行ったり、誤ったストレッチでかえって痛みを長引かせる場合もあります。

根本的な改善には、関節の可動域・姿勢・筋肉バランスを総合的に評価することが必要です。

さとう流施術所の、なぜこのようなアプローチが効くのか

椎間関節性腰痛は、骨が壊れて起こる痛みではなく、背骨のうしろ側にある関節が本来の動きを失い、噛み合いの乱れた状態で使われ続けることで生じる腰痛です。

そのため、安静にしていると比較的楽なのに、反らす・ひねるといった特定の動きでだけ鋭い痛みが出やすくなります。

このタイプの腰痛では、関節そのものに起きているわずかな引っかかりや滑りの乱れを整えることが重要になります。

そこで、椎間関節性腰痛にはジョイントディスファンクション・テクニックが効果的です。椎間関節は数ミリ単位の小さな動きしかありませんが、そのズレが関節包(かんせつほう・関節を包む袋)や靭帯(じんたい・関節を支える組織)に余計な緊張を生み、動作時の痛みにつながります。噛み合いを丁寧に整えることで、動き出しの引っかかりが軽くなっていきます。

ただし、関節だけを整えても、周囲の筋肉が緊張したままだと、動くたびに再び同じ場所へ負担が集中してしまいます。

そこで、椎間関節性腰痛のように筋肉のこわばりと関節の動きが同時に関係している痛みには、超高速バイブレーションテクニックを用います。細かく速い振動を与えることで、力が入りすぎていた筋肉がゆるみやすくなり、関節が本来の動きを取り戻しやすい状態へと導かれます。

さらに、痛みが長く続いている場合には、関節まわりの組織が敏感な状態のまま残っていることも少なくありません。

そのようなときには、補助的に特殊オイル療法を取り入れ、皮膚や筋膜(きんまく・筋肉を包む膜)の滑りを良くしながら、余分な刺激が入らない環境を整えていきます。これにより、動かしたときの違和感や不安感が和らぎやすくなります。

さとう流施術所では、痛い場所だけを見るのではなく、関節の噛み合い、筋肉の緊張の偏り、体全体の動きの流れを丁寧に確認します。

椎間関節に負担が集中しない体の使い方へ導くことで、痛みの軽減だけでなく、再発しにくい腰を目指していきます。

セルフケア再発予防

椎間関節性腰痛のセルフケアで大切なのは、後ろに反りすぎない姿勢と背中の柔軟性を保つことが大切で、以下は自宅で行う簡単なケアです。

  • 椅子に座り、両手を太ももに置いた状態で、背すじを伸ばします。その姿勢を保ったまま、体を反らさずに上半身だけをゆっくり左右に向けます。腰をひねらず、胸から動かす意識を持つことで、日常動作で腰だけがねじられる状態を防ぎ、椎間関節へのねじれ負担を減らします。左右それぞれ10回ほど行います。
  • 仰向けに寝て、両膝を立てた状態から、片側の足裏だけを床に軽く押しつけ、3秒ほど力を入れてから力を抜きます。腰は動かさず、足で床を押す感覚だけを使います。これにより、腰を反らして動こうとするクセが減り、椎間関節だけに力が集中する動きを防ぎやすくなります。左右交互に3〜5回行います。
  • 横向きに寝ます。下の脚は軽く曲げ、上の脚はまっすぐ伸ばします。上の手で床を軽く押さえ、体が後ろに倒れないようにします。そのまま上の脚を、床と平行のまま前に10cmほど動かして戻します。
  • 座るときは骨盤を立てるイメージで、腰に適度なクッションを入れるなど腰椎(腰の背骨)の自然なカーブに沿わせるように支える。
  • 朝起き上がる時は仰向けで一気に起きるのではなく、横向きから腕で支えるようにゆっくり体を起こす。
  • 姿勢を保つときは、腰だけで反るのではなく背中全体を使って反る意識。

これらを毎日続けることで、関節の詰まり、引っかかりを防ぎ、痛みの再発リスクを減らせます。

また、宇都宮市では車移動や立ち仕事が多く、「腰を後ろに反らせる姿勢のクセ」がつきやすい傾向があります。そのため、単に治すだけでなく、自分から再発しにくい体の使い方を覚えることが最も重要です。

Q&A

ヘルニアとの違いは?

椎間関節性腰痛は椎間板ヘルニアとはちがい、神経圧迫が原因ではありません。動きによる(反る・ひねる)といった動作で痛むのが特徴で、シビレが出ることは少ないです。

温めたほうがいいですか?

急性期(痛みが出始めた強い時期)は冷却を、炎症が落ち着いてからは温めて血流を促すのが効果的です。

ストレッチや運動はしても大丈夫?

痛みが強い時期は控え、症状が落ち着いてから行うようにして、ストレッチなどは胸椎(背中の背骨)や股関節を中心に行いましょう。腰を後ろに反らすストレッチはなるべく避けましょう。

動かさないほうが治りやすい腰痛ですか?

いいえ。じっとしていると一時的に楽になることはありますが、動かさない状態が続くと関節の動きがさらに硬くなり、動き出しの痛みが強くなることがあります。痛みの出ない範囲で動きをつなぐことが大切です。

再発しやすい腰痛ですか?

動き方のクセが変わらないままだと再発しやすい傾向があります。ただし、関節に負担が集中しない体の使い方が身につくと、再発リスクは大きく下げられます。

【出典】Cold versus heat for pain relief: How to use them safely and effectively

腰だけで動かさない体に変え、再発しにくい身体へ

椎間関節性腰痛は、腰そのものが悪くなって起こる痛みではありません。立ち上がる、歩き出す、少し反る。その何気ない動作の中で、本来は脚や背中と分担されるはずの動きを、腰の後ろ側の関節だけが引き受け続けてしまうことで起こります。そのため、安静やその場しのぎの対処だけでは、動き出しの怖さが残りやすいのが特徴です。

さとう流施術所では、痛みのある関節を無理に動かすことはしません。どの動きの、どの一瞬で腰に負担が集中しているのかを一緒に確認し、腰が頑張りすぎなくても動ける使い方へ整えていきます。施術とあわせてお伝えするのは、難しい体操ではなく、腰を反らさずに脚を使う感覚や、背中全体で姿勢を支える感覚など、日常生活の中でそのまま使える動かし方です。

また、回復を妨げやすい生活の偏りにも目を向けます。冷えや疲れが抜けにくい食事や生活リズムが続くと、関節は過敏になりやすくなります。無理な制限ではなく、今の生活に少し足せる工夫を、その方の状況に合わせてお伝えしています。

腰をかばう毎日から、自然に動ける毎日へ。動き方が変われば、腰の感じ方は確実に変わります。椎間関節性腰痛でお悩みなら、一度ご相談ください。あなたの生活に合った形で、腰に任せすぎない体づくりを一緒に進めていきます。