脊柱管狭窄症について
脊柱管狭窄症とは
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、一般的には背骨の中にある空洞が、さまざまな原因によって狭くなり(狭窄=すき間がせまくなること)、その中を通っている神経が押されてしまうことで、足や腰にうずくような痛みやしびれが出ることがある状態をいいます。
神経のまわりには血管(血の通り道)も一緒に走っています。そのため、神経が圧迫(おさえつけられること)されると血の流れも悪くなり、神経に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。
その結果、しびれや冷え、足の感覚がおかしい感じが出たり、歩いているとだんだん足がつらくなり、休みながらでないと歩けなくなる間欠性跛行(かんけつせいはこう:休み休みでないと歩けない状態)が起こることがあります。
症状がさらに進むと、尿や便が出にくくなる排尿・排便障害(はいにょう・はいべんしょうがい)や、股のまわりやお尻にヒリヒリした感じが出る灼熱感(しゃくねつかん)を感じる場合もあります。
脊柱管狭窄症は年齢が高くなるほど起こりやすいとされており、調査によっては70歳以上の方では2人に1人がなる可能性があるともいわれています。
脊柱管狭窄症は、大きく分けると三つのタイプがあります。
一つ目は、靭帯(じんたい:骨と骨をつなぐ組織)が厚くなったり、背骨が変形したりすることで起こる変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう:背骨の形が年齢とともに変わる状態)によるものです。
二つ目は、背骨同士が前後にずれてしまう腰椎すべり症(ようついすべりしょう)によるものです。
三つ目は、背骨が左右に曲がったり、ねじれたりする変性側弯(へんせいそくわん:年齢による背骨の曲がり)によるものです。
ここまでで、「狭窄(背骨の中の空洞がせまくなること)が起こると、その中を通っている神経が押され、強いしびれや歩きにくさが出る」と説明してきました。そのため病院では、せまくなった脊柱管(背骨の中の空洞)を広げる目的で、脊柱管狭窄症の手術を行うことがあります。

しかし、あまり知られていない事実として、画像検査で背骨に狭窄が見つかっても、痛みやしびれがなく、普通に歩ける人も少なくありません。つまり、狭窄の強さと、痛みやしびれの強さが、必ずしも一致するわけではないのです。
実際に、手術を受けたあと「歩ける距離は伸びたけれど、しびれは残っている」と感じる方や、しばらくして再び症状を訴える方がいることも報告されています。
このようなことから、医療機関や整形外科の医師の中でも、本や専門誌などで「脊柱管狭窄症の痛みやしびれは、狭窄だけが原因ではない」と指摘する意見があります。
筋肉の緊張(こわばり)、姿勢のバランス、関節の動きの悪さなど、いくつもの要因が重なって症状が出ている可能性があると考えられています。
つまり、脊柱管がせまくなっていることが見られても、それだけが必ずしも痛みやしびれの原因とは限らない場合がある、ということです。
長期間の研究では、腰部脊柱管狭窄症は必ずしも悪化し続ける病気ではないことが分かっています。多くの人が手術をせず、生活の工夫や体の使い方を整えることで症状が安定しています。
姿勢や歩き方を見直し、神経に負担をかけにくい体の動かし方を身につけることが、症状と上手に付き合うために重要です。
こんな症状でお困りではありませんか
✅少し歩いただけで、お尻や太もも、ふくらはぎが重だるくなり、途中で立ち止まり たくなる。
✅立っていると脚がつらくなるのに、イスに座ったり前かがみになると楽になる。
✅買い物中や 散歩中、カートを押したり自転車に乗ると不思議と歩ける。
✅朝よりも、外出や用事を済ませた後のほうが脚のしびれや違和感が強くなる。
✅痛みというより、ジンジンする、感覚が鈍い、脚に力が入りにくい感じがある。
✅病院で脊柱管が狭いと言われたが、どう生活すればいいのか分からず不安が残っている。

原因
- 背骨は立ったり歩いたりすると自然に反る構造になっており、この姿勢が続くと神経の通り道が一時的に狭くなり、脚にしびれや違和感が出やすくなる。
- 加齢とともに背骨まわりのクッションや関節が硬くなり、動いたときに神経が刺激されやすくなる。
- 歩行中は神経が引き伸ばされながら働くため、通り道に余裕が少ないと、血の流れが追いつかず症状が出やすくなる。
- 前かがみになると楽になるのは、腰を丸めることで神経への圧迫や引き伸ばしが減るためと考えられている。
- 体を動かす量が減り、腰や脚の柔らかさが落ちたことで、動いたときに神経のまわりが締めつけられやすくなる。
- 神経そのものが傷ついているわけではなく、動作中の負荷が重なることで症状として表に出てくる。
脊柱管狭窄症は、神経が常に押されている病気ではなく、立つ・歩くという動作の中で負担が重なったときに症状が現れる状態です。

【出典】Spinal Stenosis and Neurogenic Claudication
特徴
- 立っている時や歩いている時に症状が出やすく、イスに座る・前かがみになると楽になるという姿勢による変化がはっきりしている。
- 腰の強い痛みよりも、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて広がる違和感やしびれが中心になりやすい。
- ある距離や時間を歩くと症状が出て、少し休むとまた歩けるようになるという経過を繰り返しやすい。
- 症状が進むと、脚に力が入りにくくなり、長く歩き続けること自体が難しくなる。
- 症状がかなり進むと、膀胱や直腸に影響が出る。
- 症状の出方には個人差があり、両脚に出る人もいれば、片脚を中心に出る人もいる。
腰部脊柱管狭窄症は、痛みの強さよりも、歩行を続けられるかどうかに影響が出やすいという点が、他の腰の不調と大きく異なる特徴です。

一般的な改善策
- 病院では、腰を反らしすぎない姿勢や、歩く距離・休み方の調整など、症状を悪化させにくい体の使い方について指導されることが多い。
- リハビリでは、腰だけを動かすのではなく、股関節や背中を含めて動かし、歩行時の負担が腰に集中しないようにする練習が行われる。
- 筋力トレーニングは強く鍛えるというより、体を支えるための最低限の安定性を保つことを目的に行われる。
- 痛みやしびれが強い場合には、薬や注射などで症状を一時的に和らげ、動きやすい状態をつくる治療が選ばれることもある。
- 家庭では、一度に長く歩かず、短い距離を区切って動く、こまめに姿勢を変えるなど、負担を溜めにくい生活の工夫が重要になる。
- 動かさないと歩きにくさが進みやすいため、無理のない範囲で毎日体を動かす習慣を続けることが勧められる。
脊柱管狭窄症の改善では、治療だけに頼るのではなく、体の使い方と動かし方を見直すことが大切なポイントになります。

さとう流施術所の、なぜこのようなアプローチが効くのか
脊柱管狭窄症では、神経そのものの圧迫と同時に、背骨や骨盤まわりの関節が微妙にロックし、本来は滑らかに動くはずの関節運動が偏ってしまうことで、神経への引っ張られ感が増してしまう状態が多く見られます。歩くと痛むのは、この偏った動きが積み重なり、神経の逃げ道が失われてしまうためです。さとう流施術所では、単に狭窄した部位を緩めるのではなく、この偏りがどこから生じているのかを見極め、神経負担をつくる“動きの原因”へアプローチしていきます。

たとえば腰椎の一部だけが反りやすく、別の部位は固まっているようなアンバランスがある場合、歩行中にその固い部分が神経を引き伸ばす構造を生みます。そこで、椎間関節のわずかな滑りや角度を整えるために、ジョイントディスファンクション・テクニックを用います。これは関節そのものを「動かす手技」ではなく、背骨が本来持っている連動性を回復させるための調整であり、神経が通りやすい姿勢を自然と作り出すための下準備となります。
さらに、狭窄症の方に多いのが「股関節と体幹がうまく連動しない歩き方」です。股関節がかばうように動くと、体幹側の筋肉が適切に働かず、歩くたびに神経が引き伸ばされる負担が生まれます。そこでPNFを用い、股関節の軸と体幹の支えが自然とつながる動きを再学習していきます。これにより歩行リズムが整い、神経に余計な伸張ストレスが加わらない歩き方へ変化していきます。
また、長期間症状が続いた方では、神経周囲の組織が硬くなり、細胞の修復が遅れやすくなっています。そこで3D MENS療法を補助的に取り入れ、微弱電流によって細胞レベルの修復力を高め、炎症や硬さを内側から落ち着かせます。動かした時に神経が滑るような感覚が戻る状態を作ることで、歩く距離が安定しやすくなります。
さとう流施術所のアプローチは特定の手技を行うことが目的ではなく、神経・関節・筋膜の連動を整え「神経が圧迫されても逃げ場がある身体づくり」を行う点に特徴があります。海外文献でも神経滑走性と体幹協調性の回復が間欠跛行(痛みで歩く途中に立ち止まる)の改善につながることが報告されており、これらを施術に活かした試みが当院のアプローチとなります。
セルフケア・再発予防
- 脚が重くなっても歩き続ける、休まずに用事を一気に済ませる、調子の良い日に無理をする、こうした行動は腰まわりの筋肉を固めたまま使い続けることになるので気をつける。
- 椅子に座った状態でお腹に丸めたバスタオルをはさみ、ゆっくりと身体を前に倒し呼吸を続けながら20秒ほど状態をキープする。

- 両手、両足は肩幅に開いて四つんばいになり、おなかに力を入れ、息を吸いながら背中を丸め、そのまま自然な呼吸で10秒間保つ。

- 仰向けで片膝ずつ胸に軽く引き寄せ、2〜3秒止めて戻す動きを左右交互に5回行う、なれてきたら 両膝を胸のほうへ軽く引き寄せ、2〜3秒止めて戻す 動きを5回ほど繰り返します。腰を伸ばそうとせず、腰まわりがゆるむ範囲で行う。

- 腰を反らす体操や、胸を張って背すじを伸ばし続ける姿勢は、神経の通り道をさらに狭くしやすく、症状を悪化させやすいのでなるべくしない。
- 枕を当ててあおむけに寝ます。いすに両足をのせて10分間リラックスします。ときどき足首を動かします。

Q&A
- 歩くとつらいのに、自転車では楽なのはなぜですか?
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前かがみの姿勢になることで、腰まわりの緊張がやわらぎ、神経の通り道にかかる負担が一時的に軽くなるためです。この反応は、腰部脊柱管狭窄症に特徴的なサインの一つです。
- 痛みがない時間もありますが、放っておいて大丈夫ですか?
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痛みがない時間があるからといって安心しすぎるのは注意が必要です。動き方のクセや体の固さが残っていると、同じ負担が繰り返され、少しずつ歩ける距離が短くなることがあります。
- 筋トレやストレッチを頑張ったほうが良いですか?
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自己流で運動を頑張りすぎると、腰を支えようとして体が固まり、かえって腰に負担がかかることがあります。腰部脊柱管狭窄症では、鍛えることよりも、動く場面ごとに腰に余分な力が入り続けない状態を保つことが大切です。
- 手術はどの段階で検討すべきですか?
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排尿障害、強い脱力、足がもつれるなどの症状は緊急性があります。それ以外では保存療法で改善するケースが多いです。
- 朝よりも、夕方や外出の後に症状が出やすいのはなぜですか?
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腰部脊柱管狭窄症では、動いている時間が長くなるほど、腰まわりの筋肉や関節に疲れがたまりやすくなります。その結果、夕方や外出後に脚の重さや歩きにくさが目立ちやすくなることがあります。
- 休むとまた歩けるのに、歩くと同じようにつらくなるのはなぜですか?
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腰部脊柱管狭窄症では、歩く姿勢が続くことで神経の通り道が狭くなりやすく、休んで姿勢が変わると一時的に楽になります。ただ、再び歩くと同じ姿勢になるため、毎回同じようにつらさが出ます。

施術と日常をつなげて考えるという取り組み
腰部脊柱管狭窄症では、施術だけで体が安定するわけではなく、日常の動き方や体の使い方がその後の状態を大きく左右します。さとう流施術所では、症状を構造だけで判断せず、普段の歩き方や立ち方、力の入れ方まで含めて体を見ています。
施術で整えた状態を保ちやすくするために、家でも実際にできるセルフケアを一人ひとりに合わせてお伝えしています。外出前に行う短時間のエクササイズ、腰に負担が集まりにくい姿勢や動作の工夫、日常の中で無理を重ねない体の使い方など、生活の流れを大きく変えなくても取り入れられる内容に絞っています。必要に応じて、体の回復を妨げにくい食事の考え方にも触れます。
大切なのは、頑張り続けることではなく、続けられる形で体を使うことです。施術と日常のケアーを組み合わせることで、歩きやすさや生活の安定につなげていきます。


