変形性膝関節症について

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、ひざの関節が長い年月の中で少しずつ弱り、痛みや動かしにくさが出てくる状態です。多くの方が、軟骨がすり減ったから痛くなる病気と思われていますが、実際にはそれだけが原因ではありません。

ひざは、歩く・立つ・座る・階段を上るなど、毎日の動作で体重を受け止め続けている関節です。その負担を本来分散してくれているのが、太ももやお尻の筋肉です。ところが、年齢を重ねたり、動く量が減ったりすると、筋肉の中で栄養を取り込み、疲れを回復させる力が弱くなってきます。これを筋肉の代謝(だいしゃ・筋肉が元気を保つ働き)が落ちた状態といいます。

筋肉の代謝が落ちると、同じように歩いていても疲れやすくなり、筋肉の中に疲れのもとが残りやすくなります。体はこれ以上無理をさせないように、筋肉の力を自然に弱めて守ろうとします。その結果、ひざを支える力が出にくくなり、踏ん張れない、ひざが抜けそう、力が入らないと感じるようになります。

さらに、筋肉と神経の連携がうまくいかなくなると、力を入れたい瞬間にタイミングが合わず、ひざ関節に直接負担がかかりやすくなります。こうした状態が続くことで、関節の動きのバランスが崩れ、少しずつ変形(形や性質が変わること)が進み、痛みや不安定さが強くなっていきます。

変形性膝関節症は、年のせいだから仕方ない病気ではありません。ひざそのものだけでなく、筋肉の元気さや体の使われ方が深く関係して起こる、体からのサインのひとつなのです。

【出典】Quadriceps weakness and osteoarthritis of the knee

こんな症状でお困りではありませんか

✅朝起きて最初の一歩で、ひざの内側やお皿の周りがこわばり、しばらく歩かないと動き出せない。

✅椅子や床から立ち上がるときに、ひざに力が入らず、手すりや机に手をつきたくなる。

✅階段を下りるときにひざが不安で、体を横に向けたり、片足ずつ慎重に下りている。

✅買い物や散歩の途中で、ひざが重くなり、途中で休まないと続けて歩けない。

✅正座やしゃがむ動作がつらく、洗濯物を干す・床の物を拾うときにひざをかばっている。

✅痛い日はひざが腫れぼったく感じ、天気や前日の動き方で調子が大きく変わる。

変形性膝関節症では、常に強い痛みが出るとは限りません。立ち上がりや歩き始めなど、ひざに体重が一気にかかる場面で困りごとが出やすいのが特徴です。

これらに心当たりがある場合、ひざの中だけでなく、ひざを支える力の低下や動きのタイミングのずれが影響している可能性があります。

原因

  • ひざを支える太ももの筋肉は、体重を受け止めながら血の巡りで疲れを回復しています。しかし年齢や活動量の低下により、筋肉の代謝(だいしゃ・筋肉が栄養を使い、疲れを外に出す働き)が落ちると、疲れが残りやすくなります。その状態で歩き続けると、ひざ関節に直接負担が集まりやすくなります。
  • 筋肉の中に疲れや老廃物が残ると、体はこれ以上使いすぎないように筋肉の力を弱めます。その結果、ひざを支える力が出にくくなり、関節がぐらつきやすくなります。この不安定さが、ひざの内側に痛みを起こしやすくします。
  • 神経と筋肉の連携が乱れると、立ち上がる・踏み込むといった動作で力が入るタイミングが遅れます。本来筋肉が受け止めるはずの衝撃が、そのまま関節に伝わり、軟骨や関節まわりに負担がかかりやすくなります。
  • 女性では更年期以降、ホルモンの変化によって骨や筋肉の回復力が下がりやすくなります。これにより、同じ生活をしていても筋肉が疲れやすくなり、ひざの痛みが出やすくなることがあります。
  • ひざの曲げ伸ばしが減り、歩幅が小さくなると、関節の中の潤いが行き渡りにくくなります。すると関節の動きが硬くなり、動き始めに痛みやこわばりを感じやすくなります。
  • 痛みをかばって動く期間が長くなると、左右の足の使い方に差が出ます。この偏りが続くことで、ひざの一部に負担が集中し、変形(形や性質が変わること)が進みやすくなります。

変形性膝関節症は、軟骨がすり減った結果だけで起こるのではなく、筋肉の回復力や体の使われ方が重なって進んでいく状態です。

【出典】Cartilage lesions are not the main factor influencing pain and functional impairment in early knee osteoarthritis

特徴

  • ひざの内側に痛みが出やすく、特に体重がかかった瞬間にズキッと感じることが多い。
  • 動き始めにこわばりを感じるが、しばらく動くと少し楽になることがある。
  • 歩くスピードが自然と遅くなり、歩幅も小さくなっていることが多い。
  • 痛みのある側の足で踏ん張れず、無意識に反対側の足に体重を逃がしている。
  • 日によって調子の差が大きく、前日の動き方や冷えで痛みが変わりやすい。
  • レントゲンでは変形があると言われても、痛みの強さとは一致しないことがある。

変形性膝関節症の痛みは、常に同じ強さで続くわけではありません。筋肉の疲れ具合や支える力の出方によって、楽な日とつらい日がはっきり分かれるのが特徴です。

【出典】Radiographic Severity May Not be Associated with Pain and Function in Glenohumeral Arthritis

一般的な改善策

  • 病院では、ひざの痛みを和らげる目的で、消炎鎮痛薬(えんしょうちんつうやく・炎症や痛みを抑える薬)や湿布が使われることが多く、痛みが強い場合には関節内への注射が行われることもあります。これらは痛みを一時的に落ち着かせるための対応です。
  • リハビリでは、ひざを支える太ももの筋肉を動かす練習が行われます。座ったまま足を伸ばす運動や、軽いスクワットなどで、ひざに負担をかけすぎない範囲で筋肉を使うことが勧められます。
  • ひざの不安定さが強い場合には、サポーターやひざ用の装具を使い、関節のぐらつきを抑えることがあります。特に外出時や長く歩くときに用いられることが多い方法です。
  • 家庭では、痛みを我慢して無理に動かすよりも、ひざに体重が急にかかる動作を減らすことが大切とされています。低い椅子からの立ち上がりや、深くしゃがむ動作を避けるよう指導されることがあります。
  • 体重が増えるとひざへの負担も増えるため、食事や生活習慣の見直しが勧められることがあります。ただし、急な制限よりも、ひざに負担がかからない範囲で動くことが重視されます。
  • 痛みが落ち着いてきた段階では、歩行練習や軽い体操を続け、ひざの動きを保つことが勧められます。動かさなさすぎると、かえってこわばりが強くなるため、無理のない範囲で動かすことが基本とされています。

一般的な改善策は、痛みを抑えながらひざを守ることが中心になりますが、回復の進み方には個人差があり、思うように改善しないケースも少なくありません。

さとう流施術所の、なぜこのようなアプローチが効くのか

変形性膝関節症でひざの痛みが続いている方の体では、ひざだけが悪くなっているわけではありません。立ち上がるとき、歩き出すとき、体重をかけるときに、本来なら先に働いてくれるはずの筋肉が、うまく反応できなくなっています。そのため、ひざの関節が直接体を支える形になり、毎回ひざに負担が集まってしまいます。

このとき起きているのは、筋肉が弱くなったからではありません。長く続いた痛みや疲れによって、関節の中やまわりがぎゅっと圧迫された状態になり、神経や血の流れが通りにくくなっています。そうなると、力を入れようとしても、体からの合図が筋肉にうまく伝わらず、支える動きが間に合わなくなります。この状態で無理に運動をすると、体はさらに守ろうとして、ひざにかかる負担が増えてしまいます。

そこで、さとう流施術所では、無理に動かしたり、強い力を加えたりすることはしません。変形性膝関節症の方の体では、まず関節の中やまわりにかかっている余分な圧をゆるめることが大切だからです。
超高速バイブレーションテクニックでは、強く押したり引いたりせず、関節や背骨を含めた体全体に、とてもやさしい振動を伝えていきます。そうすることで、関節にかかっていた圧が少しずつゆるみ、神経や血の流れが通りやすくなります。すると、今まで反応できなかった筋肉が、立ち上がりや歩き出しのタイミングで、遅れずに働けるようになっていきます。その結果、ひざが無理に踏ん張らなくても体を支えられるようになります。

次に見るのは、痛みが出ている筋肉そのものではありません。変形性膝関節症では、ひざのまわりを直接揉んだり触ったりしても、動いたときのつらさがあまり変わらないことが多くあります。
筋反射テクニックでは、痛みが出ている筋肉を無理に刺激するのではなく、その痛みに反応している別の筋肉にやさしく刺激を加えます。すると、神経を通した体の反応が変わり、結果としてひざのまわりの緊張がやわらいでいきます。痛いところを追いかけなくても、動いたときの重さや引っかかりが変わってくるのは、この体の反応が整ってくるからです。

さらに、痛みが長く続いている体では、筋肉だけでなく、皮膚やその下の浅い部分まで緊張が残り、体全体がずっと力の入った状態になっています。この状態では、動きが少し良くなっても、疲れや違和感が残りやすくなります。
特殊オイル療法では、特定の場所を強く触るのではなく、皮膚を通して広い範囲にやさしく触れていきます。血の流れやリンパの流れに配慮しながら緊張を分散させることで、体が自然に力を抜きやすくなり、動いたあとも楽な状態が続きやすくなります。

さとう流施術所では、ひざの痛みだけを追いかけることはしません。関節にかかっている圧、神経や血の流れ、筋肉の反応の出方、皮膚に残った緊張を、一つずつ整えていきます。そうすることで、ひざが無理をしなくても動ける体に近づいていきます。変形性膝関節症でも、立ち上がりや歩き始めで感じていた不安は、少しずつ減っていきます。

セルフケア・再発予防

  • 安定した椅子に浅く腰かけます。足は肩幅よりやや広めに置きます。体を少し前に倒し、両足の裏で床を押すようにゆっくり立ち上がります。勢いは使いません。立ったら、ゆっくり座ります。これを10回。立ち上がりの動きを練習することで、ひざだけで体を持ち上げる癖を減らします。お尻と太ももを一緒に使うことが大切です。
  • 仰向けに寝て、ひざを立てます。お腹とお尻に力を入れ、ゆっくりお尻を持ち上げます。腰を反らさず、ゆっくり下ろします。10回行います。お尻の筋肉が働くようになると、歩くときにひざへ集中していた負担が減ります。ひざだけで支えない体をつくる運動です。
  • 仰向け、または椅子に座って、ひざの間にボールやクッションをはさみます。軽くつぶすように力を入れ、ゆっくり力を抜きます。これを10回。内ももの筋肉が働くと、ひざが内側にぶれにくくなります。膝蓋骨の動きも安定しやすくなります。
  • 椅子の高さを見直す、低い椅子や柔らかいソファに深く座ると、立ち上がるときにひざへ強い負担がかかります。膝の角度が深く曲がるほど、関節の中の圧は高まります。座る椅子は、ひざが直角くらいになる高さを選びます。これだけでも、毎日の負担は大きく減ります。
  • ひざを伸ばしきって立たない、立っているとき、無意識にひざをピンと伸ばしきっていないか確認してください。伸ばしきる立ち方は、関節に体重を直接乗せる姿勢になります。ほんの少しだけひざをゆるめ、太ももとお尻で支える感覚を持つことで、関節への圧が減ります。
  • 階段は下り方を意識する、階段を下りる動作は、変形性膝関節症で最も負担が大きい動きのひとつです。痛い側から先に下り続けていないか確認してください。手すりを使い、体をやや前に倒し、お尻を使う意識を持つことで、ひざの前面への負担を減らせます。

Q&A

レントゲンで軟骨がすり減っていると言われました。もう元には戻りませんか?

軟骨そのものは若い頃の状態には戻りません。ただし、痛みは軟骨の量だけで決まるものではありません。

筋肉の代謝や動き方が整うと、同じレントゲン所見でも痛みが軽くなることは多くあります。画像と痛みの強さは必ずしも一致しません。

正座やしゃがむ動作はもうやらない方がいいですか?

深く曲げる動作は関節の圧が高くなるため、無理は禁物です。ただし完全に避け続けると、関節の動きがさらに小さくなります。痛みが出ない範囲で少しずつ動かすことが大切です。

歩き始めの一歩目が特に痛いのはなぜですか?

動き出す瞬間は、関節の中の圧が急に変わります。筋肉が間に合わないと、その衝撃をひざが直接受けてしまいます。支える順番が整うと、この一歩目の痛みは軽くなることがあります。

雨の日に痛みが強くなるのはなぜですか?

気圧の変化や体内の水分バランスの変化で、関節の中の圧が変わることがあります。体が冷えたり動きが減ったりすると、さらに重だるさを感じやすくなります。

体重を減らさないと良くなりませんか?

体重は負担に影響しますが、それだけが原因ではありません。同じ体重でも、筋肉の使い方や支え方が変わると痛みの出方は変わります。

膝のお皿の周りがゴリゴリ鳴ります。大丈夫ですか?

音だけで悪化を判断することはできません。痛みが強くなければ心配しすぎる必要はありません。ただし、お皿の動きが固くなっている可能性はありますので、動きを保つことが大切です。

【出典】Changes in barometric pressure and ambient temperature influence osteoarthritis pain

年齢のせいで終わらせない。手術を急がないための膝づくりへ

変形性膝関節症は、年齢とともに増える症状です。だからといって、年だから仕方がないと終わらせる必要はありません。

軟骨がすり減ること自体は、体の変化の一つです。しかし、痛みの強さや歩ける距離は、軟骨の量だけで決まるわけではありません。

筋肉の代謝が整い、踏み出す瞬間に体がきちんと支えられるようになると、同じひざでも感じ方は変わります。

さとう流施術所では、ひざを強く鍛えさせることはしません。まずは、眠っていた筋肉が反応できる状態をつくり、関節の中の循環を取り戻します。

そのうえで、立ち上がりや歩き出しなど、毎日必ず行う動作の支え方を整えます。

運動も、たくさんやらせるのではありません。今のひざに合った強さで、意味のある動きだけを選びます。やみくもに回数を増やすことはしません。

食事についても同じです。量を減らす指導ではなく、筋肉や関節をつくる材料が足りているかを確認します。

たんぱく質、ビタミンC、亜鉛など、体を修復する栄養がきちんと届くことが、回復の土台になります。反対に、甘い物や加工食品が多いと、体の炎症が続きやすくなります。

痛みがあると、動くことが怖くなります。動かないと、さらに代謝が落ちます。この悪循環を止めることが、手術を急がないための第一歩です。

今すぐ大きく変わる必要はありません。まずは、立ち上がりの一歩を軽くすること。そこから少しずつ、歩ける距離を伸ばしていくこと。

年齢のせいで終わらせないために、まだできることはあります。迷いがあるなら、一度ご相談ください。今のひざに合った整え方を、一緒に見つけていきます。