股関節外側の痛みについて

股関節外側の痛みとは

股関節外側痛とは、股関節の外側にある骨の出っ張り付近、大転子(だいてんし:太ももの骨の外側の出っ張り)のまわりに、ズキッとした痛みや押すと痛い感じが出る状態です。

歩く、階段を上る、片脚で立つ、横向きで寝るなど、体重が片側に乗る場面で強くなりやすく、特に夜に横向き寝をしたとき下側の股関節がうずいて眠れない、という訴えも多いです。

病名としては大転子部痛症候群(だいてんしぶつうしょうこうぐん)と呼ばれることが多いですが、単なる滑液包炎(かつえきほうえん:クッションの袋が刺激されること)だけで決まるわけではありません。

この痛みの本質は、外側の組織が擦れているというより、股関節が内側に入りやすい動きや姿勢が続き、外側の腱(けん:筋肉の付け根)に圧迫と引っぱりが同時にかかり続けることにあります。

たとえば、片脚立ちや歩行のときに骨盤がスッと落ちたり、立っているだけで体が片側に寄ったりすると、外側の腱が大転子と周囲の組織に挟まれやすくなります。

さらに、股関節が硬くて内転(ないてん:脚が内側に入る動き)が止まる人や、逆に内転が強く入り過ぎる人でも、外側に負担が集まります。

画像(レントゲンやMRI)で説明しにくいことも多く、痛い場所そのものより、なぜ外側にストレスが集まっているかを整理することが改善の近道になります。

【出典】Gluteal Tendinopathy: Integrating Pathomechanics and Clinical Features in Its Management

こんな症状でお困りではありませんか

✅横向きで寝ると、下になった股関節の外側がズーンとうずき、寝返りのたびに目が覚めてしまう。仰向けよりも横向きがつらい。

✅歩いているときは何とか大丈夫だが、坂道や階段を上ると、股関節の外側にピリッとした痛みが出る。特に上りの一歩目が痛い。

✅片脚で立ってズボンや靴下をはくとき、外側に力が入らず、不安定でぐらつく感じがある。

✅美容室や電車で長時間座ったあと、立ち上がって数歩目に外側が痛むが、しばらく歩くと少し楽になる。

✅股関節の外側を指で押すと、はっきりと痛い場所があり、そこを下にして横になるのが怖い。

✅整形外科で滑液包炎と言われ、湿布や痛み止めを出されたが、少し良くなっても、しばらくするとまた同じ外側が痛くなる。

原因

  • 歩くときに体が少し内側へ入り込むクセがあると、股関節の外側が骨と外側の硬いスジに挟まれます。立っているだけでは気づきにくいですが、片脚に体重が乗る瞬間に外側が押しつぶされる形になります。この押される力が何度も続くことが、外側の痛みの土台になります。
  • 片脚で体を支えるときに骨盤がわずかに下がる人では、お尻の横の付け根が強く引っぱられます。歩く一歩ごとに引っぱりがくり返されるため、小さな傷が回復する前に次の負担がかかり、痛みが長引きやすくなります。
  • 脚を内側へ動かす動きがかたい人では、股関節の動きの幅がせまくなります。そのため、体重を支えるときに外側へ力が逃げやすくなり、同じ場所に負担が集中します。外側が痛いのに、原因が内側の動きの少なさにあることが少なくありません。
  • 痛みが出はじめると、無意識に体はその部分を守ろうとします。すると外側の筋肉が力み続け、休めなくなります。力が抜けない状態が続くと血の巡りが悪くなり、回復しにくい環境ができてしまいます。
  • 横向きで寝る時間が長い人では、下になった側の骨の出っ張りがずっと押され続けます。夜のあいだに何時間も圧がかかることで、外側が敏感になり、日中の歩行でも痛みが出やすくなります。
  • 坂道や階段をよく使う生活では、平地よりも外側の筋肉が強く働きます。特に上りでは体を持ち上げる力が必要なため、外側の付け根にかかる力が増え、弱っている部分に集中的な負担がかかります。

【出典】Greater trochanteric pain syndrome: a review of diagnosis and management in general practice

特徴

  • 股関節の外側を指で押すと、はっきりと痛い一点が見つかることが多く、少し場所をずらすと痛みが弱くなるという特徴があります。関節の奥ではなく、外側の付け根に負担が集まっているサインです。
  • 平らな道では歩けるのに、体重を乗せて踏ん張る場面になると外側が痛みやすくなります。特に体を支える側の脚に体重が乗る瞬間に違和感が出やすい傾向があります。
  • 股関節を大きく曲げたり伸ばしたりする動きよりも、片側に体重がかかる姿勢で痛みが出やすく、動きの大きさと痛みが一致しないことがあります。
  • 長く続くと、無意識に体が外側をかばうようになり、立ったときに骨盤が少し傾いて見えることがあります。鏡で見ると左右の高さが違うと感じることもあります。
  • 朝よりも、歩いたあとや立っている時間が長い日の夕方に外側が重だるくなることが多く、使うほどつらくなる傾向があります。
  • 外側が痛くても足のしびれや強い力の抜けは出にくく、腰からくる痛みとは違い、場所がはっきりしていることが多いのも特徴です。

【出典】Greater trochanteric pain syndrome

一般的な改善策

  • 病院では、股関節の外側が敏感になっている時に、飲み薬やぬり薬を使って痛みを落ち着かせることがあります。痛みを和らげることで、日常の動きが少し楽になるようにする目的です。
  • 痛みが強い場合には、外側の痛む部分に注射をして刺激をやわらげる方法が選ばれることもあります。特に夜に横向きで眠れないほどつらいときに検討されることがあります。
  • リハビリでは、お尻の横の筋肉がうまく働くように、体を支える練習をゆっくり行うことがあります。股関節の外側に力が集まりすぎない体の使い方を身につけることが目的です。
  • 歩き方については、大きく体を揺らさず、痛む側に急に体重を乗せないように意識する指導を受けることがあります。これにより外側への負担を減らします。
  • 自宅では、横向きで寝るときにクッションを脚の間に入れて、股関節が内側に入りすぎないように工夫することがよくすすめられます。外側が長時間押されないようにするためです。
  • 痛みが出やすい時期には、坂道や長い階段を無理に使わず、平らな道を選んで歩くなど、股関節の外側に負担が集中しないように調整することが大切とされています。

さとう流施術所の、なぜこのようなアプローチが効くのか

股関節の外側が痛む方の多くは、外側が傷んでいるというより、立ったときに体の重さが少し内側へ流れ、骨盤がわずかに落ちることで、外側の付け根が骨とまわりに挟まれる状態が続いています。

この状態では、歩く一歩ごとに同じ場所が押され続けるため、回復する時間が足りなくなります。

このように外側が支え続けている状態には、股関節と骨盤の動きの中心を整えることが必要です。ジョイントディスファンクション・テクニックは、体重が乗ったときに股関節が内側へ入り込み過ぎる動きを減らし、骨盤が落ち込む量を小さくします。

その結果、歩くたびに外側が挟まれる時間が短くなり、負担が集中しにくくなります。

また、外側の痛みが続く方では、お尻の横から太ももの外側にかけての組織が常に引き延ばされた状態になっています。

この状態では、脚を前に出すたびに外側が骨に押し付けられやすくなります。筋・筋膜グライディング療法によって、この引き延ばされ続けている状態を減らすことで、歩くときに外側が踏ん張り続けなくても体を支えられるようになります。

さらに、痛みが長く続いている場合には、外側が過敏になり、軽い圧でも強く感じるようになっています。

立体動態波によって深い部分の緊張を落ち着かせることで、動いたときに過剰に反応しなくなり、自然に体重を乗せられるようになります。

さとう流施術所では、痛いところを押さえるのではなく、なぜ外側が挟まれる動きになっているのかを見つけ、その動きそのものを変えていきます。

外側に集まっていた負担が分散されることで、無理をしなくても歩ける状態へと変わっていきます。

セルフケア・再発予防

  • 両ひざの間に軽くタオルをはさみ、ゆっくり歩きます。ひざが外へ開かないように一歩ずつ進むことで、歩くときに股関節が内側へ入り込み過ぎる流れを減らし、外側が押され続ける状態を防ぎます。
  • 壁に横向きで立ち、痛みがある側の骨盤の横を壁に軽く触れさせます。そのまま痛みがある側の脚にゆっくり体重を乗せ、骨盤が離れないように数秒保ちます。正しい位置で支える感覚を覚えることで、外側へ負担が集まりにくくなります。
  • 足を肩幅より少し広めに開き、軽くしゃがんだ姿勢のままゆっくり横に移動します。体が上下に揺れないように動くことで、横方向の支えが安定し、外側が詰まりにくくなります。
  • 長く立っているときに、無意識に片側へ体重を乗せ続けないよう、ときどき両脚に均等に体重を戻します。外側への偏った負担を防ぎます。
  • 買い物袋や荷物をいつも同じ側で持たないようにします。体が片側へ傾くクセが減り、股関節の外側が無理をしにくくなります。
  • ソファや柔らかい椅子で深く沈み込む座り方を続けないようにします。骨盤が傾きやすくなり、立ち上がるときに外側へ負担が集中するのを防ぎます。

Q&A

横向きで寝ると外側が痛くなります。どうしたらいいですか?

外側が下になると骨の出っ張りが長く押され続けるため痛みが出やすくなります。膝の間にクッションをはさむか、痛くない側を下にして寝ると負担が減ります。

歩いているとだんだん外側が重だるくなるのはなぜですか?

歩くたびに体重が外側へ集まり続けていると、支える筋肉が休めず疲れやすくなります。歩幅を少し小さくしてゆっくり歩くと楽になることがあります。

ストレッチで外側を伸ばした方がいいですか?

強く伸ばすと外側が骨に押しつけられやすくなることがあります。痛みがある間は無理に伸ばすより、体重のかけ方を整える方が改善しやすいです。

座っていると痛くないのに歩くと痛むのはなぜですか?

体重がかかると外側で支える時間が増えるためです。支え方のクセがあると歩くときに症状が出やすくなります。

片側だけ痛くなることが多いのはなぜですか?

立ち方や歩き方の偏りによって、体重が同じ側に集まりやすくなるためです。日常のクセが関係していることが多いです。

年齢のせいと言われました。本当にそうですか?

年齢だけが原因ではありません。体の使い方や支え方が変わることで楽になるケースも多くあります。

【出典】Greater Trochanteric Pain Syndrome

股関節の外側が気にならず動ける毎日を取り戻すために

股関節の外側の痛みは、ただ炎症がおさまれば終わるものではなく、体重のかかり方や歩き方の流れが変わらないままだと、同じ場所に負担が戻りやすい特徴があります。

さとう流施術所では、外側そのものだけを見るのではなく、なぜ外側に力が集まり続けているのかを丁寧に探し、体の使い方のクセまで含めて整えていきます。

施術では、関節の動きや骨盤の傾き、外側に押しつけられていた負担が自然に分散する状態を目指します。

無理に強く動かすのではなく、歩く・立つ・向きを変えるといった日常の動きの中で、股関節が本来の位置で働けるように導いていきます。

また、運動やエクササイズについても、単に筋肉を鍛えるのではなく、外側に頼りすぎない支え方を身につけることを大切にしています。

どの動きが負担を集めているのかは一人ひとり違うため、生活の場面を伺いながら、実際に続けられる内容だけを選びます。

難しいことを増やすのではなく、普段の動作の中で無理なく変えていける方法を一緒に考えていきます。

日常の整え方としては、長く立つ場面での体重の偏りや、荷物の持ち方、座り方なども重要になります。

ほんの少しの習慣の違いが、外側にかかる力の流れを大きく変えることがあります。無意識に続けている動きに気づくことで、痛みへの不安も少しずつ減っていきます。

食事についても、特別な制限をするのではなく、体の回復を助ける栄養がきちんと取れているかを大切にしています。

筋肉や腱の回復にはたんぱく質、炎症が長引かないようにするためには魚に含まれる脂やビタミン類などが役立つことがあります。

普段の食事の中で無理なく取り入れられるポイントをお伝えし、体の内側からも整えていきます。

さとう流施術所では、施術だけで終わらせるのではなく、動き・生活・体の使い方・日々の習慣を一つの流れとして考えます。

外側の痛みが出る理由が整理されると、必要以上にかばうことが減り、安心して歩ける時間が増えていきます。

長く続いてきた違和感でも、体の使われ方が変わることで、少しずつ動きやすさが戻っていくことを大切にしています。

もし、歩くたびに外側が気になる、原因がはっきりしないまま不安が続いていると感じているなら、一度体の状態を整理してみませんか。

あなたの生活に合わせた形で、無理なく続けられる整え方をご提案します。

【出典】Education plus exercise versus corticosteroid injection use versus a wait and see approach on global outcome and pain from gluteal tendinopathy: prospective, single blinded, randomised clinical trial