肩こり症

肩こり症とは

肩こり症とは、首から肩、背中の上にかけての重さや不快感が長く続き、さらに首を動かしにくくなる状態をいいます。

一時的な疲れによる肩こりとは違い、休んだり温めたりしても楽になりにくく、日がたっても同じようなつらさが続くのが特徴です。

この状態では、肩や首の筋肉がいつも力が入ったままになりやすく、体がうまく力を抜けなくなっています。

また、肩こり症では、肩甲骨(けんこうこつ)と呼ばれる背中の骨の動きが小さくなります。肩甲骨は、

本来、腕や首を動かすときに後ろから支え、負担を分け合う大切な役割を持っています。

しかし、この骨がうまく動かなくなると、その分の負担を首や肩の筋肉が一手に引き受けるようになります。その結果、肩だけでなく首の重さや動かしにくさ、頭が重い感じとして現れることもあります。

肩こり症は、ある日突然起こるものではありません。長いあいだ肩こりを感じながら生活を続けることで、筋肉や体の動きに少しずつ無理がたまり、体全体の動かし方に影響が出始めた段階と考えられます。

【出典】Is chronic neck pain related to scapular dyskinesia? A systematic review

こんな症状でお困りではありませんか

✅パソコン作業や読書をしていると、肩だけでなく首まで重くなり、途中で姿勢を変えたくなる。

✅朝起きたときから首や肩がかたく、左右を向くと引っかかる感じがして動かしづらい。

✅肩を回すとゴリゴリ音がしたり、動かした後に重だるさが強く残る。

✅マッサージを受けると一時的に楽になるが、数日するとすぐ元に戻ってしまう。

✅肩こりが強い日は、頭が重く感じたり、目の奥が疲れやすくなる。

✅肩から首にかけて痛みが広がり、ひどいときはのどの奥や耳の下あたりまで違和感が出る。

原因

  • 肩こり症は、肩や首の筋肉を使いすぎた結果ではなく、力を抜く時間が足りない状態が長く続くことで起こります。休んでいるつもりでも、無意識に肩や首に力が入ったままの時間が増えることが土台になります。
  • 首から肩、背中の上にかけての筋肉は、目の使いすぎや集中作業、緊張感の影響を受けやすい場所です。そのため、日常の刺激が重なると、他の部位よりも先に緊張が続きやすくなります。
  • 肩甲骨(けんこうこつ)は、本来、腕や首の動きに合わせて動く骨ですが、同じ姿勢が長く続くと動きが小さくなります。肩甲骨が動かなくなることで、首や肩の筋肉が代わりに支え続ける状態になります。
  • 肩や首のこりが長く続くと、筋肉は休む時間を失い、常に力が入ったまま使われる状態になります。この使われ方が続くことで、筋肉は元のやわらかさに戻りにくくなり、血の巡りも滞りやすくなります。これが肩こり症へ進んでいく土台になります。
  • 首を前に突き出す姿勢や、下を向いたままの作業が続くと、首の後ろから肩にかけての筋肉が引っぱられ続けます。その結果、筋肉が回復する時間が不足し、緊張が積み重なっていきます。
  • 肩こり症は突然起こるものではなく、日々の姿勢や動作の積み重ねによって、肩や首が休めなくなった状態が続くことで起こると考えられます。

【出典】Neck/shoulder discomfort due to visually demanding experimental near work is influenced by previous neck pain, task duration, astigmatism, internal eye discomfort and accommodation

特徴

  • 肩こり症では、肩の筋肉だけでなく、首と肩甲骨の動きが同時に悪くなるのが特徴です。首だけ、肩だけを動かしても動きが軽くならず、動作が分断されたようになります。
  • 肩や首の筋肉では、緊張が一部に偏りやすく、触ると特定の場所だけが強く硬く感じられることがあります。
  • 肩をほぐしても、肩甲骨が動かないままの状態が残りやすく、背中の奥に重さが残ったように感じることがあります。
  • 一般的な肩こりと違い、筋肉を温めたり揉んだりしても、動きそのものの改善が起こりにくい傾向があります。
  • 肩こり症では、肩の不調が首へ影響しやすく、首の動きが制限されることで状態が長引きやすい特徴があります。
  • 肩や首を動かしたとき、痛みよりも先に、動かしづらさや引っかかり感が現れるのも肩こり症の特徴のひとつです。

【出典】Local Heat Applications as a Treatment of Physical and Functional Parameters in Acute and Chronic Musculoskeletal Disorders or Pain

一般的な改善策

  • 医療機関では、肩こり症に対して、痛みや不快感を抑える目的で、飲み薬や塗り薬が使われることがあります。症状の強さや体の状態に応じて処方されます。
  • リハビリでは、首や肩をゆっくり動かす体操や、肩甲骨(けんこうこつ)まわりを動かす練習が行われることがあります。体を固めないようにすることを目的としています。
  • 温熱療法(ホットパックなど)や電気治療といった物理療法が行われることもあります。肩や首を温めたり刺激を与えたりすることで、血の巡りを助け、筋肉の状態を整える目的で用いられます。
  • マッサージや指圧などで、肩や首の筋肉をゆるめる対応が行われることもあります。筋肉の緊張を和らげる目的で取り入れられています。
  • 家庭では、枕の高さや寝る姿勢を見直し、首や肩に無理な力がかからない状態を保つことが勧められることがあります。睡眠中の姿勢を整えることを目的としています。
  • また、日常生活の中で、長時間同じ姿勢を続けないように意識し、適度に体勢を変えることが大切とされています。

さとう流施術所の、なぜこのようなアプローチが効くのか

肩こり症は、肩の筋肉だけが悪くなって起こるものではありません。首・肩・肩甲骨が、同じ動きばかりを続けることで、体の使い方にかたよりが出てしまった状態です。

そのため、つらい場所を直接揉んだり、強く刺激したりしても、体の動かし方そのものが変わらず、同じ不調がくり返されやすくなります。

さとう流施術所では、まず筋肉が動きにくくなっている原因として、筋肉の表面だけでなく、その周りを包んでいる筋膜(きんまく・筋肉を包む薄い膜)にも目を向けます。

筋膜の動きが悪くなると、首や肩を動かすたびに、同じ筋肉だけが引っ張られ続けます。筋・筋膜グライディング療法では、この引っかかりをやさしくほどき、首・肩・肩甲骨がそれぞれ無理なく動ける状態へ整えていきます。

また、肩こり症では、つらさを感じている筋肉そのものではなく、別の筋肉が関係していることがあります。

体には、痛みや不調が起きたときに、離れた筋肉と反応し合う仕組みがあります。筋反射テクニックでは、つらい場所を直接揉むのではなく、その不調に反応している筋肉に刺激を加えます。

これにより、体の反射の働きを通して、結果的に首や肩の緊張がゆるんでいくことを目指します。

さらに、肩こり症が長く続いている方では、筋肉だけでなく皮膚もこわばり、体が緊張した状態に慣れてしまっていることがあります。

オイルを用いた施術では、皮膚を通して広い範囲にやさしく触れ、血の巡りやリンパの流れに配慮しながら刺激を伝えます。

特定の場所だけを強く触るのではなく、皮膚全体から働きかけることで、首や肩に集まりすぎていた緊張を分散させます。

さとう流施術所では、痛みのある場所だけを追いかけるのではなく、体がどのように使われ、どこに負担が集まっているかを大切にしています。

筋肉・筋膜・皮膚・体の反射のつながりを整えることで、肩こり症でも無理なく変化していく体づくりを目指します。

セルフケア・再発予防

  • 椅子に座り、両腕を前に伸ばした状態から、肘を曲げながら腕を体に引き寄せます。肩をすくめず、肘を後ろへ引く意識で行い、戻すときはゆっくり腕を前に出します。 肩こり症では腕の動きに肩甲骨がついてこなくなりやすいため、肩甲骨を腕の動きに参加させ、首や肩だけで支える癖を減らします。
  • 椅子に深く座り、両手を太ももに置いたまま、背中を軽く伸ばしてから胸ごと体を左右にゆっくりひねります。首だけを動かさず、目線は正面を保ちます。肩こり症では首だけが先に動きやすくなるため、体と首を分けない動きを取り戻します。
  • 立位または座位で、両腕を体の横に下ろします。両肩を耳に近づけるようにぎゅっと引き上げ、3秒保ったあと、ストンと一気に力を抜いて肩を下ろします。3〜5回行います。肩こり症では力を抜くきっかけを失いやすいため、緊張→脱力で筋肉がゆるむ感覚を取り戻します。
  • 家の中で物を取るとき、腕だけを伸ばして取ろうとしていないかを見直します。一歩近づいてから腕を出すことで、肩の同じ場所に負担が集まり続けるのを防ぎます。
  • 買い物袋や手提げを持つとき、いつも同じ手で持ち続けていないかを意識します。短い距離でも持ち替えることで、利き手側への負担の固定化を防ぎます。
  • くつろぐとき、肘をついた姿勢や片腕に体重を預ける姿勢が習慣になっていないかを見直します。肘に体重をかけ続けないだけでも、首から肩への一方向の負担の蓄積を減らします。

Q&A

ただの肩こりと、肩こり症はどう違うのですか?

一時的な肩こりは、疲れや同じ姿勢が原因で起こり、休むと楽になることが多いものです。

肩こり症は、こりが長く続いた結果、首・肩・肩甲骨の動きそのものが悪くなり、体の使い方に影響が出始めた状態です。

揉んでも温めてもすぐ戻ってしまう場合は、肩こり症に進んでいる可能性があります。

病院で異常なしと言われましたが、治らないのはなぜですか?

肩こり症は、骨や神経に大きな異常がなくても起こります。画像に写らない筋肉の使われ方や、動きの連動の乱れが原因になることが多く、検査で問題が見つからなくても症状が続くことは珍しくありません。

マッサージや湿布では良くならないのですか?

一時的に楽になることはありますが、肩こり症では動きの問題が残っているため、すぐに戻りやすい傾向があります。

痛い場所だけを緩めても、首・肩・肩甲骨の動きが変わらないと、根本的な改善につながりにくくなります。

運動すると、かえって悪くなりませんか?

強い運動や無理な体操は悪化することがあります。ただし、肩こり症に合った動きであれば、負担を減らす助けになります。

痛みを我慢して行う必要はなく、動かしづらさが出ない範囲で行うことが大切です。

年齢のせいだから仕方ないのでしょうか?

年齢による変化は影響しますが、それだけが原因ではありません。肩こり症は、長年の体の使い方が積み重なって起こることが多く、年齢に関係なく動きが変わると楽になるケースは多くあります。

どれくらい通えば楽になりますか?

状態や期間によって異なりますが、動きの引っかかりが強い場合は、比較的早い段階で変化を感じる方もいます。

長く続いている肩こり症では、体の癖を整えながら少しずつ改善していく必要があります。

【出典】The Ergonomic Association between Shoulder, Neck/Head Disorders and Sedentary Activity: A Systematic Review

肩こりを我慢する前提から抜け出すために

肩こり症は、強い痛みが出る前から、首や肩に余計な力が入り続けている状態です。そのため、施術で一度楽になっても、生活の中で同じ使い方が続けば、首や肩はまた同じように張ってきます。

さとう流施術所では、この戻りやすさを前提に、どうすれば負担が溜まりにくい体で過ごせるかを重視しています。

肩こり症の方に多いのは、首や肩だけで体を支えようとする癖です。そこで行う運動や動きも、頑張って鍛えるものではなく、腕・肩甲骨・体が一緒に動く感覚を取り戻すことを目的に選びます。

同じ動きでも、人によって強さややり方を変えるのは、今の体の状態に合わせるためです。

また、姿勢指導も「正しい姿勢を保つ」ことが目的ではありません。料理、物を取る動作、くつろぎ方など、普段の動作の中で、首や肩に負担が集まりやすい場面を整理し、影響の大きい動作だけを見直します。全部を変えようとしないことが、続けられる体づくりにつながります。

食事についても、無理な制限は行いません。筋肉や神経が回復しやすい状態を保つために、普段の食事の中で不足しやすい栄養を確認し、現実的に意識できるポイントだけをお伝えします。

さとう流施術所では、施術だけで肩こり症を終わらせるのではなく、日常で負担が溜まりにくい状態を一緒につくっていきます。

首や肩の重さを気にしながら動く毎日から、自然に体を使える時間を少しずつ増やしていくことを大切にしています。