宇都宮にお住まいの方で、病院で「脊柱管狭窄症」と診断され、お薬を飲んだりリハビリに通ったりしているのに、足の痛みやしびれが思うように軽くならず悩んでいる方は、決して少なくないのではないでしょうか。「このまま歩けなくなってしまうのだろうか」「いずれは手術しかないのだろうか」と、不安を抱えながら毎日を過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。脊柱管狭窄症と診断された場合に、ご自身でできるチェックとセルフケアの考え方について、少し違った角度からお話ししていきます。読み進めていくうちに、足の痛みやしびれに対する見方が少し変わるきっかけになれば嬉しく思います。
痛みの原因として考えられる三つの方向
足の痛みやしびれを引き起こす原因は、大きく分けて三つの方向から考えることができます。一つ目は、本当に腰の脊柱管や椎間板といった部分が神経を圧迫しているケース。二つ目は、腰から足の先へ伸びていく神経が、その「途中の経路」で圧迫されているケース。そして三つ目が、筋肉を覆っている「筋膜(きんまく)」という薄い膜の滑りが悪くなって、神経が引っ張られてしまうケースです。
ここで一つ、たとえ話をさせてください。腰から足先までを一本の長い「ホース」だと考えてみてください。蛇口が腰、ホースの先が足先です。足先から水がうまく出ないとき、原因は蛇口にあるとは限りません。ホースの途中が踏まれていたり、ねじれていたりして、水の流れが悪くなっていることもありますよね。腰から出た神経も、これと同じように一本の長い経路を通っています。腰の蛇口に問題があるのか、それともホースの途中で何かが起きているのか。それを見極めることが、痛みの本当の原因にたどり着くための入口になります。

二つ目について少し補足しますと、腰から出た神経はお尻の奥を通り、太ももを下って足先まで伸びていきます。その途中、たとえばお尻の奥にある「梨状筋(りじょうきん)」という筋肉が硬くなると、その下を通る坐骨神経が締めつけられ、足にしびれが出ることがあります。ホースの途中をぎゅっと握られているような状態です。蛇口をいくらいじっても、握られている部分を緩めなければ水の流れは戻りません。
先日、宇都宮市内にお住まいの七十代の女性が、こんなお話をされていました。「ずっと脊柱管狭窄症の薬を飲んでいたのですが、お尻の奥をほぐすようにしてみたら、足のしびれが少し軽く感じる日が増えてきたんです」と。腰そのものではなく、ホースの途中にあたるお尻に目を向けたことで、感じ方が変わってきたというお話でした。※効果には個人差があります。
まずはご自身で確かめてみる、という発想

慢性的な痛みについては、画像だけで本当の原因を見極めるのは難しいと言われています。なぜなら、画像にはもともと存在していた変化も、今の痛みの原因になっている変化も、同じように写ってしまうからです。では、どうすれば本当の原因に近づけるのでしょうか。一つの考え方として、「ある場所をほぐした直後に、痛みの感じ方が変わるかどうか」を確かめてみる方法があります。腰以外の場所をケアしただけで痛みが軽くなるなら、その場所が痛みに関わっていた可能性が高い、という考え方です。

具体的な手順はとてもシンプルです。まず、いつも痛みが出る動作(たとえば仰向けで足を上げる、立ち上がるなど)をしてみて、痛みの度合いを覚えておきます。次に、これからご紹介する場所をほぐしたりストレッチしたりします。そしてもう一度、最初と同じ動作をしてみて、痛みが消えていたり半分以下になっていたりすれば、その場所が痛みに関わっていた可能性が高いと考えられます。ホースのどこを緩めたら水の流れが良くなったのか、自分の体で確かめていく作業に近いかもしれません。
どのタイプにも共通する、お尻の中央のケア
足の痛みやしびれを感じている方にまず試していただきたいのが、お尻の中央にある梨状筋のケアです。ここは坐骨神経の通り道、つまりホースが体の奥を通り抜ける場所にあたるため、硬くなっていると様々な不調を引き起こしやすい場所です。テニスボールをお尻の中央の少し凹んでいる部分に当て、椅子に座るか床に仰向けになって体重をかけ、縦横にゆっくり動かして三十秒から一分ほどほぐします。痛気持ちいい程度の強さがちょうどよい目安です。

そのあとに、仰向けで片膝を少し曲げ、つま先を内側に向けて膝のねじれを防ぎながら、反対の足を組んで横に倒すストレッチを加えます。お尻の奥が伸びる感覚を味わいながら、三十秒から一分ほどキープしてみてください。
痛む場所別のセルフチェック
お尻の下側から太ももの裏側にかけて痛みが出る方は、お尻のすぐ下の部分を、お尻の穴を左右に広げるようなイメージで指でつかみ、上下に動かしてほぐしてみます。三十秒ほど続けたあとに、もう一度仰向けで足を上げてみて、痛みの出る角度が変わっていれば、お尻の下を通るホースの部分が関係していた可能性があります。
ベルトラインの少し下、お尻の横側から太ももの外側にかけて痛みが出る方は、お尻の側面、股関節の付け根の延長線上あたりにテニスボールを当てて、縦横に三十秒ほどほぐしてみます。そのあと横向きに寝て、上の足をベッドや椅子の縁から垂らすようにしてお尻の側面を伸ばすと、より変化を感じやすくなります。

お尻から足の外側、ふくらはぎの前面まで広い範囲に痛みやしびれが広がる方は、坐骨神経そのものを「動かす」運動が役に立つことがあります。仰向けに寝て、片足を天井に向けて伸ばし、足首をぐっと反らせた状態で、まずは天井を見ます。すると腰側が緩んで足側が伸びる感覚があります。次に膝を曲げながらおへそを覗き込むようにすると、今度は足側が緩んで腰側が伸びます。この相反する動きを十回ほど繰り返すと、ホースの中の神経が鞘(さや)の中で滑りやすくなると言われています。
本当に脊柱管狭窄症が原因と考えられる場合
ここまでご紹介したセルフチェックをひと通り試しても、痛みの感じ方にまったく変化がない場合は、腰そのもの、つまり蛇口の部分が痛みに関わっている可能性があります。その場合、覚えておきたいのは、脊柱管狭窄症は腰が「反った状態」で固まると神経が圧迫されやすく、反対に腰を「丸める」と神経の通り道が広がりやすいという性質です。座ると楽になる、前かがみになると歩きやすくなる、というのもこの仕組みからきています。

仰向けに寝た状態で、両膝を抱え込んで胸にぐっと近づけ、腰を丸めるストレッチを毎日続けてみてください。固まった部分にゆとりを取り戻してあげるイメージで、ゆっくり丸めては戻す動きを繰り返します。

日常生活で気をつけたい三つの習慣
毎日の生活の中で、合わせて意識していただきたい習慣が三つあります。一つ目は、長時間同じ姿勢を続けないこと。三十分から一時間に一度は立ち上がって、軽く腰を丸める動きを入れるだけでも、ホースが固まりにくくなります。二つ目は、歩くときに足の付け根からしっかり動かすこと。歩幅を少し広げる意識を持つだけで、お尻まわりの筋肉が動き、ホースの途中が圧迫されにくくなります。三つ目は、お風呂でしっかり体を温めること。お尻の奥や太ももの裏は冷えやすく、冷えるとホースの周りの筋肉が硬くなりやすい場所です。湯船にゆっくり浸かる時間を、一日のリセットの時間として大切にしてみてください。

セルフケアは、毎日完璧にやろうと気負う必要はありません。気づいたときに、ほんの一分、お尻の中央にテニスボールを当ててみる。それくらいの軽やかさのほうが、結果的に長く続けられるものです。痛みの本当の原因がどこにあるのか。それを知る手がかりは、案外あなたご自身の体の中に静かに眠っています。腰から足先まで伸びる長いホースのどこに引っかかりがあるのか、そっと耳を澄ませてみる時間を、日々の暮らしのどこかに置いてみてはいかがでしょうか。




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